食中毒が疑われる患者が診察にきた場合、看護師はまず問診を行います。その際には、原因菌やウイルスの潜伏期間が1週間と想定されるため、1週間の食歴をはじめ、発熱や下痢、嘔吐の発生時期、回数などの確認が必要です。食中毒患者は、脱水症状や胃腸症状により状態が急変する可能性があるので、意識状態や呼吸回数なども併せて観察しておきましょう。
バイタルサインの確認後、必要があれば優先診療を行います。感染の可能性がある場合は、ほかの患者と隔離した場所で待機してもらうことが大切です。さらに、使用してもらうトイレを決めてほかの患者が使用しないようにしたり、使用後は消毒を行ったりすることが欠かせません。
また、原因菌を特定するための便検査を行う場合は、手袋やマスクを着用します。脱水症状がみられる場合は、経口補水液の摂取や静注点滴を行うのが一般的です。嘔吐の可能性があるときは、側臥位で点滴を行い、医療用バットなどを用意しておきましょう。点滴中にトイレに行く可能性もあるため、注射針をしっかり固定することも大切です。
嘔吐や下痢を繰り返している患者は体力も落ちているので、点滴中は寒気を感じないように保温や声かけをします。また、症状が急変する可能性を考え、帰宅する際に体調の変化時はすぐに病院を受診するよう促すことも大切です。自宅でも水分補給が必要ですが、一度に飲むと胃腸が刺激され嘔吐や下痢が促進されることもあるので、こまめに取るように説明しましょう。